こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
連日お伝えしている台風19号ですが、広い範囲で記録的な大雨や暴風となり、甚大な被害が広範囲に及んでしまうおそれがあります。
最新情報を詳しく解説します。
土日に『非常に強い勢力』で直撃へ
台風19号は、10日(木)18時現在、小笠原諸島付近にあり、『大型』で『猛烈』な勢力を維持して北上中です。
12日(土)午後~13日(日)には、『非常に強い』勢力で紀伊半島から東日本にかなり接近し、上陸する見込みです。
東北、北海道にも近づいたあと、13日(日)夜には、北海道南東海上で温帯低気圧に変わる見込みです。
今回の台風19号は、千葉県を襲った台風15号より勢力が強い状態で近づき、サイズが大きいので、最悪の場合、千葉県のような大規模停電、断水、倒木などが、かなり広い範囲で起こってしまうおそれがあります。
危険な時間帯が長い
各地の注意・警戒すべき時間をまとめてみました。
台風の進路や速度の誤差を考慮して作成したものです。
台風15号はサイズが小さかったので警戒時間は6~8時間程度でしたが、台風19号はサイズが大きいだけあって、危険な時間が長めです。
避難行動などの参考になさってください。
【暴風・高波】
11日(金)夕方からは、東日本・西日本太平洋側で、非常に強い風が吹き始める所が出てきます。
その後、西日本は12日(土)にかけて、東日本と北日本は12日(土)から13日(日)にかけて暴風が吹き荒れる見込みです。
台風最接近前の11日(金)時点でも、島しょ部に加え、東海、近畿、四国でも、瞬間的には30メートルの突風が予想されており、看板が外れたりするなど危険な風が吹き荒れるおそれがあります。
台風最接近時の12日(土)~13日(日)は、各地でさらなる暴風が予想され、記録的な暴風が吹き荒れるおそれがあります。
交通機関がストップするのはもちろん、先日千葉県を襲った台風15号のように多くの木が倒れたり、電柱が倒れるなどの被害が考えられますので、最大限の警戒が必要です。
事前の備えは、自分を守ること、人を傷つけないことにもつながりますので、よろしければ以下の記事を参考になさってください。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~
また、台風の影響で一番最初にピークを迎えるのは波です。
東日本太平洋側から西日本、沖縄にかけては、11日(金)夜までには、猛烈なしけ(高波の表現としては最高ランク)や大しけとなり、警戒レベルの高波になってきます。
西日本では12日(土)にかけて、東日本と北日本では、12日(土)から13日(日)にかけて、警戒レベルの高波が続く見込みです。
一般的な建物1階分の高さがおよそ3メートルですので、9メートルですとか10メートルというと、3階建ての建物の高さに相当する波です。
いかに危険かわかりますよね。
絶対に海の様子を見に行ったりしないでください。
【高潮】
勢力の強い台風が近づき、暴風が吹き荒れると、高潮も心配です。
高潮とは、潮位が上昇すること(海面が上昇すること)で、海沿いの地域を中心に、浸水などの被害をもたらします。
発生の原理は違いますが、海面が持ち上がり陸地方向に海水が押し寄せられる点で津波に似ているので、『気象津波』といったりもします。
これまでは高潮というと、どんな現象なのかあまり想像できないかたが多かったと思いますが、昨年の台風21号で関西空港が高潮による大きな被害を受けたのは、記憶に新しいでしょう。
今回の台風19号でも、高潮による被害が発生してしまうことが考えられます。
原因としては、以下の通りです。
- 暴風が吹き荒れ湾に海水が吹き集められること(吹き寄せ効果)
- 台風が発達しているため気圧がかなり低く、海面が持ち上がってしまうこと(吸い上げ効果)
- 1年の中で最も潮位が高い時期
- 大潮の時期(14日(月)が満月で、満月の前後2日程度が大潮。大潮の時期は干満差が大きく、満潮時はいつもより潮位が高い)
これに、台風の中心に近い、暴風が吹き込む湾である、満潮時刻、などの条件が重なると、高潮による甚大な被害が出てしまうことも考えられます。
大雨による浸水も重なってしまうと、最悪の状況です。
現時点ではまだ予想が難しいですが、台風中心の右側に入りそうな、駿河湾、相模湾、東京湾あたりが、特に警戒が必要だと思っています。
今後の台風の進路や近づくタイミングにもよりますので、最新の台風情報をご参照ください。
【大雨】
11日(金)午後からは、台風最接近前ではありますが、台風周辺の非常に湿った空気が流れ込むことにより、西日本と東日本の太平洋側では、大気の状態が非常に不安定となり、山沿いを中心に大雨となる所がある見込みです。
12日(土)には、台風本体の非常に活発な雨雲がかかってくるため、西日本~東北の広い範囲で大雨となってきます。
13日(日)にかけても、ふだん大雨となることが少ない東北や北海道太平洋側を中心に、大雨に警戒が必要です。
予想される雨量は、以下の通りです。
各地でかなりの量の雨量が予想されていますが、場所によっては平年の10月の雨量の2倍程度の雨が台風19号の雨だけで降ってしまう所もあるかもしれません。
それだけ台風というのは、危険な雨雲の塊だということです。
山沿い、平地、関係ありません。
東京都心も例外ではなく、場合によっては、過去に経験したことがないような歴史的な大雨となるおそれがあります。
東京の過去の24時間雨量の記録を調べてみたのですが、2000年以降の24時間雨量のトップ3は、全て10月の台風によるものなんです。
- 2004年 台風22号 270.5mm
- 2013年 台風26号 246.0mm
- 2014年 台風18号 238.5mm
10月の台風は関東地方に近づきやすかったり、海面水温が高く台風のエネルギー源になったり、雨雲のもとになる水蒸気量がたっぷりあるなどの影響があるのかもしれませんね。
今回もこれに匹敵、または上回る雨量となるおそれがありますので、最大限の警戒が必要です。
早めの備え・避難を
最強クラスの台風19号。
大きな被害が、全国の広い範囲で出てしまうことも考えられます。
自分の命や大切な人の命を守るためにも、早めの備えや早めの避難をお願いします。
早めに行動する勇気。とても重要ですよ。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~
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