こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
暑くなると心配なのが『熱中症』ですよね。
この記事では、現役お天気キャスターとして取材したり、テレビで解説している経験をもとに、熱中症から身を守る術について解説していきたいと思います。
この記事でわかること!
・水分の具体的なとり方とは?
・結局、塩分はとった方がいいの?とりすぎない方がいいの?疑問を解決!
・『暑さに慣れる』ことが大事?外出自粛でも暑さに慣れる方法あり!
・睡眠も大事!暑いほど睡眠効率が低くなる。
・冷房の設定温度は?高齢者は暑さを感じにくい?
詳しく解説します!
目次
①【水分補給】『こまめに!』『早めに!』
まず、熱中症対策として皆さんがよく耳にすることのひとつが、『こまめに水分を摂る』ことだと思います。
そもそも、なぜこまめに水分を摂らないといけないのか。
それは、人間の体の約60%は水分で出来ているからです。
例えば、体重60キロの成人男性であれば、36キロ分が水ということになります。
では、人間は一般的に一日どれくらいの水が必要なのでしょうか。
答えは2.5リットルです。
ただ、そのうち0.3リットルは体内で作られますので、私たちが食事や飲み物からとるべき水分は2.2リットルということになります。
図:厚生労働省HPより
ただ、この数字はあくまで平均的な話。
暑さが厳しい時は大量の汗をかきますので、もっと多くの水分をとらなければいけません。
下の図のように、水分を失うにつれ、脱水症状やけいれんなどがあらわれ、最悪の場合、死に至ります。
図:厚生労働省HPより
ですので、水分補給はとても大事なことなのです。
水分をとるときのポイントは、『こまめに!』、『早めに!』です。
まず『こまめに!』ですが、水分をとる時間を予め決めておくといいと思います。
冷蔵庫の近くに来たから、自動販売機の近くに来たから、なんとなく飲もうかな〜、ではなく、例えば1時間に一回水分補給をすると決めておくなど。
忘れてしまう心配があるのであれば、家族で声を掛け合ったり、スマホや時計などでタイマーを掛けておくといいでしょう。
その際に、一気に大量の水分をとらないようにしてください。
内臓に大きな負担をかけることになってしまいます。
一度にとる水分の目安としては、200ミリリットル程度です。
コップ一杯分くらいですね。
そして、喉が渇かないうちに『早めに』水分をとることが重要です。
のどが渇くということは、軽く脱水が始まっているということです。
ですので、時間を決めて早めに水分をとることが重要になってきます。
ちなみに、僕の家では下の商品のようなデジタル時計を使用しています。
電波時計のため時刻は正確ですし、数字が大きく表示されるため、お年寄りでも見やすいです。
もちろん、目覚まし機能もあり、水分補給の時間を忘れることはありません。スヌーズ機能もついています。
また、気温・湿度ともに表示されるため、使い勝手がとてもよくおすすめです。
一部屋にひとつあるといいでしょう。
入浴前後にも水分をとって
突然ですが、問題です。
Q.お風呂に入ったあとは、どれくらいの水分が失われるでしょう?
A.答えは、約800ミリリットルです。
500ミリリットルのペットボトル1本半くらいの水分が失われてしまうんですね。
※41℃のお風呂15分入浴後、30分安静にした場合。大塚製薬HP参考。
ですので、お風呂に入る前後も、水分をとるのを忘れないようにしましょう。
半身浴などで長風呂する場合は、水分をお風呂に持ち込んだほうがいいでしょう。
寝る前にもコップ一杯の水を
またまた問題です。
Q.寝ている間に失われる水分は、どれくらいでしょう?
A.答えは約500ミリリットル〜1リットルです。
やはり、寝る前や起きたあとも、コップ一杯の水は欠かせないですね。
ただ、現実的には、ご高齢の方はトイレの回数を気にされて水分摂取を控えてしまったり、そもそも喉の渇きを感じにくくなっていたりして水分をほとんどとらないでしまったりという感じだと思います。
僕の祖父母もそのような傾向が見られます。
対策としては、家族がサポートしてあげることでしょうか。
例えば、水分をとるように声をかけてあげる。電話でもいいと思います。
また、夜中気にせずトイレに行けるように、体を支えてあげるなどのサポートをするなど。トイレに行けるんだという気持ちになれれば、安心して水分を摂れると思います。
あとは、はじめは抵抗があるかもしれませんが、おむつをするというのもありです。
熱中症で重症化してしまうリスクを考えると、上記の対策は負担が少なく感じますよね。
命を守りましょう。
余談・・宝水の話
余談ですが、昔の人は、寝るときに枕元に水をおいて、寝る前にコップ一杯の水を飲む週間があったそうです。
この水は『宝水(たからみず)』と呼ばれていたそうで、旅館などにも疲れた旅人が足をつるのを防止するなどの目的で、枕元に置かれていたそうです。
足をつるといのは熱中症のひとつの症状でもありますし、寝る前に水を飲むことで体の調子がよくなることを、昔の人も感じていたのかもしれませんね。
NGな飲み物は?
さてさて、ここまで熱中症にならないようにするためには水分補給が大事だということを解説してきましたが、飲み物なら何でもいいというわけではありません。
熱中症予防に適さない、NGな飲み物を挙げますね。
【ビールなどアルコール類】
ご存知の方も多いと思いますが、まずビールなどのアルコール類はNGです。
お酒を飲む方ならお分かりだと思いますが、お酒を飲むとトイレの回数が増えますよね。
利尿作用があるためです。
水分補給どころか、体から水分が出ていきやすくなってしまいます。
例えば、ビール10本分飲むと、なんと11本分が尿となって排泄されると言われています。
とはいえ、暑いときにビールなどのお酒を飲むと、たまらなくおいしいですよね。
大丈夫です。対策があります。
どうすればいいのか。
それは、お酒を飲む時は、同じくらいの水も意識的にとるようにすること。
そうすれば、水分を補えます。
また、お酒を飲んでそのまま寝てしまうのはとても危険です。
熱中症のリスクが高いです。
寝る前に水分を摂るのを忘れないようにしてください。
【カフェイン類】
また、カフェインを多く含むコーヒーやお茶も、利尿作用があり、飲んだ半分以上の水分が体から出ていきます。
とはいえ、コーヒーやお茶が大好きな人も多いですよね。
朝コーヒーを飲んで目を覚ますのが習慣になっている方もいらっしゃるはず。
カフェイン類だけで水分補給をするのではなく、一緒に水を飲めばいいのです。
習慣化しちゃいましょう。
②【塩分補給】結局、どれくらいとればいいの?
水分のほかに、「塩分もこまめにとりましょう」と聞くことも多いですよね。
一方、「塩分のとりすぎにも注意」ということを耳にする機会もあると思います。
「結局、塩分はどれくらい摂ればいいの?」
このうような疑問を抱えている方が多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、
結論
①日本人は一般的な食生活を送っていれば、十分な塩分を摂っている。
→とはいえ、大量に汗をかく場合は、やはり塩分補給が必要。
②高血圧の人は、意識的に塩分を増やす必要はなく、減塩生活を続けても大丈夫な場合がほとんど。主治医に相談を。
以下、詳しく解説します。
まず、WHO(世界保健期間)が設定している一日の食塩摂取量は、5グラムです。
これに対し、日本の目安は少し多く、日本の厚生労働省は、一日の塩分摂取目標量を男性8.0g未満、女性7.0g未満としています。
また、日本高血圧学会は、一日6グラム未満を勧めています。
日本の目安が多めである理由は、食材に塩分を多く使うからでしょうか。
では、実際のところ、日本人はどれくらいの塩分を摂っているのか。
なんと、平均で10グラム前後!!
目標を軽くオーバーしています。
そう、普段から十分すぎる塩分を摂っているのです。
とはいえ、暑くなってくると大量の汗をかいて塩分が出ていってしまいます。
激しい運動をするなら、いっそう塩分不足になりやすいです。
ですので、結論。
汗をたくさんかく場合は、塩分補給も大事です。
塩分を摂れる飲み物や食べ物の例を上げるとこのような感じです。
塩分を摂れる飲み物・食べ物
・味噌汁:1杯あたり約1.5グラム
・梅干し:1粒あたり1〜2グラム
・食パン1枚:約1グラム
・スポーツ飲料:500ミリリットルあたり約0.5グラム
・経口補水液:500ミリリットルあたり約0.5グラム
このほかにも、塩飴やタブレット、塩入りビスケット、塩こんぶなどもあります。
では、普段、減塩生活を送っている高血圧の方はどうか。
高血圧の方は、意識的に塩分を多くとらなくていい場合がほとんどのようです。
そのまま、減塩生活を送っても大丈夫な場合がほとんどとのことです。
もちろん、人によって違うこともあると思いますので、主治医にご相談ください。
参考:日本高血圧学会HP
③【暑さに慣れる】『やや暑い』『ややきつい』がポイント
本格的な夏を迎える前に、やっておかなくてはならないことがあります。
それは、『体を暑さに慣れさせる』ということ。
本格的に厳しい暑さになる前に、体を暑さに慣れさせておくということが必要なのです。
スポーツをする前にストレッチや準備体操をするのと同じで、暑さに体が慣れていない状態で暑い日を迎えてしまうと、体がびっくりしてどこかしらの不具合(不調)が生じてしまうんです。
夏は毎年やってきますが、一年も間隔が空くと、体が暑い時にどうすればいいか忘れてしまうんです。
暑い→汗をかく→熱を外に放出する、という働きを忘れてしまうんですね。
スポーツも、一年間全く練習すらしていなかったら、体がなまってしまいますよね。
それと同じです。
では、どのように体を暑さに慣れさせればいいのか。
ポイントは、『やや暑い』と『ややきつい』です。
どういうことかというと、最高気温20〜25℃くらいのやや暑い時期に、帽子を被るなどの日焼け対策をしつつ、散歩や体操などの運動を、ややきつく感じる程度に行うということ。
時期でいうと梅雨前くらい、4月の終わり頃〜5月くらいでしょうか。
やや暑い、ややきついは個人差があると思うので、ご自身の体感でOK。
運動が苦手な方は30分程度の散歩や半身浴、サウナなどで汗をかくでも大丈夫です。
このようなことをすれば、体が汗のかき方を思い出してくれ、体内に熱を外に放出することにつながります。
ここで、注意点2つ。
ひとつは、こまめな水分補給を心がけること。
そしてもうひとつは、この期間は冷房は控えめするということ。
なかなか体が暑さに慣れなくなってしまうからです。
ただし、暑すぎる時、気温で言うと25℃以上のときは無理は禁物。
運動を控えたり、冷房を無理せずに使ってください。
この暑さに慣れる期間は、『やや〜』が大事ですから、無理は禁物です。
夏前に倒れてしまったら、本末転倒ですからね。
2020年はコロナウイルスが・・・
ただ、2020年はコロナウイルスの影響で外出自粛やステイホームな世の中。
外で運動もしにくい。
どうやって体を暑さに慣れさせればいいんだ。。
大丈夫です。
家の中で暑さに体を慣らせばいいのです。
まずは、『家トレ』。
家でトレーニングすることですね。
特に、窓越しに日差しを浴びてトレーニングをすると気持ちいいですし、汗を簡単にかけますね!
こちら、ダンベルにもバーベルにもなるので、家トレにおすすめ!僕も同じようなものを持っています。
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歩数も稼げますね。
そして、『入浴』で暑さに体を慣らすこともできます。
半身浴をするなどして、体に汗のかき方を覚えさせるのです。
ただ、普段半身浴をしていない方にとっては、かなり暇に感じるかもしれません。
僕はお風呂の中で、本を読んだり、音楽を聴いたり、ボイスレコーダーで語学学習をしたりしていますよ。
集中できるのでおすすめです!
お風呂用のブックカバーもあるので、水没する心配もありません。お風呂の中でも効率的に読書することができます。
時間を無駄にしなくていいですね。
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外で運動出来なくても、暑さに体を慣らすことができるので、実践してみてくださいね!
④【睡眠をしっかりとる】徹夜厳禁!
睡眠をしっかりと取ることも大事です。
とある検証によると、中途睡眠時間(寝てから起きるまでの間で、途中目が覚めていた時間の合計)が2時間以上となった人は、10分未満の人と比べて、夜間平均気温の平均値が約2℃高いことがわかったそうです。
また、睡眠効率が65%未満の方々は、95%以上の方々と比べて夜間の平均気温が約3℃高いことがわかったそうです。
特に湿度が高く蒸し暑い夜は、なかなかぬ眠れないですし、夜中に起きちゃったりしますよね。
このように、暑いだけでも睡眠が十分に取れないわけですので、疲れがたまる週後半やテスト前で勉強を追い込んでいる方は、注意が必要です。
徹夜での勉強やお仕事は、熱中症のリスクが高まってしまいますので厳禁です。
⑤【冷房の使用】我慢しないで!
言わずもがなですが、暑さを我慢せず、無理をせず、冷房を使いましょう。
ポイントは、室温が28℃以下になるように保つということです。
暑く感じたら冷房をつけて、28℃以下を保つ設定にしましょう。
もちろん、部屋の広さや環境、お使いの冷房の調子によってはかなり温度を下げないと涼しく感じないこともあると思いますので、その点はご自身でご判断ください。
大事なのは、暑さから身を守ることです。
ただ、ご高齢の方は、なかなか暑さを感じにくい方も多いと思います。
それは、加齢により皮膚の温度センサーが鈍ってくるためです。
対策としては、温度計を部屋に置いておいて、常に室温を確認できるようにしておくことです。
暑く感じていなくても、28℃を超えたら冷房をつけるようにしましょう。もちろん、28℃以下でも暑く感じたら冷房をつけてください。
あとは、おじいちゃんやおばあちゃんに、電話して気を配ってあげることも大事です。
『暑くない?ちゃんと冷房つかってる?』
この一言で、熱中症から守ってあげられることも多いです。
ご近所のおじいちゃん、おばあちゃんにも、声をかけてあげてくださいね。
まとめ
まとめ
①水分補給
・ポイントは『こまめに』、『はやめに』。
・お酒を飲む場合は、同量の水を飲むのも忘れずに。
②塩分補給
・大量に汗をかく場合は大事。
・高血圧の方は主治医に相談を。
③暑さに慣れる
・『やや暑い』時期に『ややきつい』運動をすること。
・外出自粛でも、家トレや入浴で慣らす。
④睡眠をしっかりとる
・暑い夜は睡眠効率が落ちる。
・徹夜厳禁。
⑤冷房の使用
・我慢はNG。
・室温28℃以下を保つ。
・高齢者は暑さを感じにくいため、温度計を置くなどの対策を。
この記事が参考になれば幸いです。
お互い、熱中症にならないように気をつけましょうね!