天気 防災

なぜ日本は土砂災害が多いのか

こんにちは!
お天気キャスターの小林正寿です。

日本は、世界的に見ると、有数の土砂災害の多い国です。
きょうは、なぜ日本は土砂災害が多いのかについて、解説していきたいと思います。


原因①地形~日本の7割は山~

土砂災害が日本で多い理由の一つが、地形です。

日本の国土の約6~7割程度が山地となっています。

山地が多いということは、大雨などのきっかけがあれば山の斜面が崩れやすい、つまり土砂災害が発生しやすいです。

日本の面積は約37.8万k㎡で、アメリカの25分の1程度と小さいですが、その一方で、人口は約1億2000万人と多いです

このため、住む場所が足りず、土砂災害などの多い山の斜面にも住まざるを得ない状況なのです。

その結果として、土砂災害の人的被害も多くなってしまいます。


原因②気候~豪雨急増~

原因の二つ目としてあげられるのが、気候です。

【地球温暖化】

ご存知のように、特に産業革命以降、地球温暖化が急速に進んでおり、20世紀の100年間で、我々が住む北半球の平均気温は約1℃上昇しました。

「1℃って大したことなくない?」、「1℃で、体感的に大きく変わるの?」と、お思いのかたもいらっしゃると思います。

僕も書いていて、1℃って、インパクトがないかなぁ?と思ったり。

でも、こう考えるとどうでしょう。

例えば、1年間で平均気温が1℃上昇するには、元日から大晦日まで、毎日例外なく平年の気温より1℃高い状況が続くということです。

これが例外なく100年続くと、100年間で平均気温1℃上昇となるわけですね。

実際は、気温の高い日もあり低い日もあるので、ちょっと極端な例だったかもしれませんが、こう考えると、1℃って、けっこう高く感じませんか?

『塵も積もれば山となる』

ポジティブに使うこの言葉を、地球温暖化に関しては、かなりネガティブにこの言葉を考えなければなりません。

【豪雨急増】

そして、地球温暖化が進んでいる影響で、豪雨も増えています。

気温が高くなると、積乱雲(雷雲、積乱雲)ができやすくなったり、大気中に含むことのできる水蒸気量が増えて、雨量が多くなるためです。

こちらは気象庁のホームページに載っている図ですが、1時間50mmの雨の回数が年々増えていることがわかります。

40年前くらい(1976~1985年)に比べると、ここ10年間(2009~2018年)は、約1.4倍、多くなっています。

1時間に50mmの雨というと、みなさんが、豪雨と感じるような雨、車の運転が危険なレベルの雨です。

そもそも日本は、海に囲まれていて雨の原因となる水蒸気が多い所ですし、梅雨がある、台風も来るということで、雨の多い国。

総雨量が多いのに加え、1時間に50mm以上の雨が増えているということは、一気に大量の雨が降ってくるということ。

これが、土砂災害発生に、拍車をかけています。


原因③人間による影響

ここまでのお話は、地形、気候と、自然的なものが土砂災害に影響しているというものでした。

しかし、実は、我々人間が、土砂災害を引き起こしている可能性もあるのです。

それが原因の三つ目。

原因①に書いたように、日本は面積が狭い、山地が多い、でも人口が多いです。

山地が多い、人口が多いとはいえ、平地に住む場所が全く余っていないというわけはありません。

僕が育った茨城県は平地が多いですが、土地はかなり余っています。

ご存知のように田舎なので。

では、なぜ、原因①に書いたように、住む場所が足りていないのか?

それは、田舎(あえて田舎という言葉をつかいます)ではなく、関東だったら首都圏、関西だったら京阪神など、大都会に住む傾向が強いからです。

その結果、大都会の平地の土地が、足りなくなってしまっているんです。

僕は関東出身で、関西に26歳から29歳の3年間住んでいたことがあるのですが、関西に住んでみて思ったことの一つに、関東と違って山が近い!ということがあります。

関東は、大きな関東平野が広がり、平野部に人口が集中しています。

それに対し、関西は、地形が複雑でゴツゴツしています。山あり、盆地あり。

大阪平野など平地もあるものの、面積は狭く、見渡せば、山が近くに見えます。

大阪からも京都、奈良、兵庫、和歌山方面の山地が、すぐそこに見えます。

そして、神戸市、芦屋市方面は、その山にもたくさんの家が建っているのが、東海道線の窓からよく見えました。

人口増加に伴って、平地に住宅を作る場所がなくなり、山地での宅地開発がどんどん進んだからですね。

池谷浩さん著『土砂災害から命を守る』によると、六甲山では1936年までに形成された居住地域は標高40mの所までに対し、1955年頃までには230m、1985年頃には340mに至っているとのことで、住宅がどんどん標高の高い所に作られていっていることがわかります。

この宅地開発も、土砂災害の人的被害が大きくなってしまう原因のひとつでもあり、人間が引き起こしてしまっていることであるのです。


おわりに

日本に住んでいる以上、土砂災害と付き合っていかなければいきません。

土砂災害から身を守るには、常日頃から、ご自身が住んでいる地域のことを知っておくことが大事です。

過去に災害があったか、土砂災害の警戒区域などはどこか、避難所はどこかなど。

また、土砂災害には前兆というものがあります。

こちらの記事にまとめたので、参考になさってください。

土砂災害の前兆をつかむには五感をフル活用せよ

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