こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
さて、きのう6日(日)から台風19号の記事を書いていますが、きのうまでの予想と少し変わったことがあります。
また、三連休に大きな影響がありそうな台風19号、どこに進むのか気になりますよね。
最新情報を解説いたします。
三連休 暴風域を伴ったまま本州接近のおそれ
台風19号は、7日(月)午前3時現在、日本のはるか南、マリアナ諸島付近を西北西に進んでいます。
きのう6日(日)までの予想と違うのは、この日本のはるか南にある段階で、かなり発達していること。
中心気圧は、きのうの15時から24時間で67hPaも下がっていて、きょう15時現在で925hPa。
かなり急速に発達していることが分ります。
勢力も『大型』で『非常に強い』となっており、強い風を吹かせる範囲も広いし、最大風速も非常に強い、ということを意味していて、かなり危険な台風です。
台風19号の雲の様子を見てみても、コンパクトな台風の眼ができていて、発達していることがわかります。
よく、眼が大きい方が発達しているとお思いのかたがいらっしゃるのですが、実はキュッとコンパクトに引き締まった眼の台風の方が、発達しているんです。
気になる進路としては、ちょっと前の予想より東寄りに絞れてきていて、沖縄本島に暴風警戒域がかからなくなってきました。
前日更新の参考記事:【台風19号発生】最高ランク『猛烈』な勢力に発達 三連休に影響も
現時点の見通しは、以下の通りです。
- 9日(水)~・・・小笠原諸島は大しけ
- 11日(金)・・・沖縄の大東島に『非常に強い』勢力で接近
- 12日(土)~13日(日)・・・本州・四国・九州に暴風域を伴ったまま接近
今年、日本に近づく台風としては一番と言っていいくらい大変危険な台風です。
早めの備えをお願いいたします。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~
どこに進んでもおかしくない~予報円の大きさは東西のブレにあり~
先に、『進路はやや東寄りに絞れてきた』と言いましたが、とはいえ、予報円はまだまだ大きい状況。どこに進むかわからない状況です。
じゃあ何でこんなに予報円が大きくどこに進むのかわからない状況なのか、詳しく解説します。
台風の進路予想を見るときは、多くの皆さんは台風の予報円を見ると思います。
この予報円は、『円の中のどこかに、台風の中心が進む確率が70%ですよー』ということを意味しています。
なので、予報円が大きい=発達するということではありません。
予報円が大きい=進路の予想が難しく、まだブレが大きいですよということを意味しています。
例えば、1個目のあす8日(火)3時の予報円の直径は120kmに対し、5日目の12日(土)の予報円の直径は880kmにもなります。
880kmとは、東京から広島くらいの距離。仮に、中心が東京~広島のどこに進むのかわからないと考ええたら、予想がだいぶブレブレだということがわかりますよね。
当然ですが、遠い未来ほど予想が難しくなるので、先の予報円ほど大きさは大きくなります。
じゃあこの予報円が大きい理由は何のか。
それは、コンピュータの予想がバラついているから。
実は、台風の予報は、ひとつのコンピュータの予想だけで行っているものではありません。
海外各国のコンピュータの予想も参考にしているし、日本だけでもいくつもの計算結果があり、それらの結果を参考に、予報円の大きさが決まります。
今回は、日本のアンサンブル予報というものを見ていきたいと思います。
『アンサンブル』とは、複数のものが集まって、一体となったものを意味しますが、例えば、アンサンブル合唱だったら、各パート(複数のもの)が集まって、みんなで一緒に合唱(一体になる)しますよね。
アンサンブル予報とは、少しずつ違うデータを27個用意(上記『複数のもの』に相当)して、その27個のデータの計算結果から、未来の現象の傾向(上記『一体』に相当)を大まかにつかむということ。
簡単にいうと、複数の計算結果から、平均的に見て、『この先はこうなりそうだな~』とか、ざっくりした傾向をつかむことができるんですね。
例えば、27個の計算結果中、20個の計算が日本に台風を上陸させているとなったら、台風が来そうじゃないですか?
そんな感じで使います。
実際に、27個のコンピュータの結果を見てみましょう。
下の図の赤丸は、低気圧の中心が進むと予想されている所を示しているのですが、ここでは台風の中心が進むと予想されている所とお考えください。
11日(金)は、本州の南で集団をなしていて、予想が比較的まとまっていますね。
12日(土)になるといかがでしょう。
だいぶ東西にバラけてきますよね。
台風の中心が進むと予想されている所が、関東から九州の南と、東西のブレ幅が大きいです。
そうなんです。
いま、12日(土)の予報円の大きさが大きい理由は、この東西のブレ幅が大きいからなんです。
予報円の大きさが大きい理由は、この東西のブレ幅が大きいほかに、速度のブレが大きいときもあります。
でも、今回は、速度(南北のブレ幅)はそんなにバラついていないですよね。
こんな風に、何で予報円が大きいのかを考えると、予報円の中でも、予報円のどのあたりに進むのか、ある程度検討をつけることができます。
現在の日本の台風予報円は真円(真ん丸)ですが、実際は予報円は下の画像のように、横長だったりするわけですね。
そして、13日(日)午前9時には、北日本の東海上に台風の中心を進めている予想のものが、多くなっています。
三連休前半が大荒れピークか
なので、現時点の予想では、三連休前半の12日(土)~13日(日)朝が、全国の広い範囲で大雨や暴風など大荒れのピークになると考えられます。
天気が穏やかなうちに、早めの備えをお願いします。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~