こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
北海道では一気に真冬が押し寄せたかのような冬の嵐になっていますが、気象庁のHPによると関東でも積雪の観測が。
ん???でもなんだか怪しい。
実はその関東の積雪、のちにノーカウントになったのです。
この記事ではノーカウント積雪について解説します。
ムムム?みなかみで積雪1センチ?
15日(金)未明。
ZIP!での解説のため日本テレビに出勤し、気象庁のHPを見ていた時のこと。
14日(木)夜から、群馬県のみなかみの観測所で、積雪1センチを観測している。
ボーっとこの観測データを見ていると、『あ~そうだよな。北海道にあれだけ強い寒気が入れば、関東でも北部の山沿いでは雪が降るよな~』と、なると思います。
しかし!!
気温と降水量のデータを見てみると、ムムム!!!
気温は高すぎるし、降水量は0ミリ。つまり降るものがない!!
これは怪しいと思い、ZIP!では『関東でも雪が積もった』とはお伝えしませんでした。
おそらくほかの番組では、関東の観測地点がある場所で雪が積もるのは今シーズン初めてでニュースになることなので、伝えていたところもあったはず。
でも、自分はグッと我慢。。
ZIP!の放送終了後、帰宅してから、前橋地方気象台に問い合わせました。
すると、丁寧に回答をいただきました。
結論から言うと、みなかみの積雪1センチは誤った観測だったとのこと。
予感的中でした。
翌日15日(金)に修正され、みなかみの積雪1センチはノーカウントに。
みなかみの観測所は、無人の観測所。
気象台のある前橋市からだいぶ離れた所にあるため、データを見て怪しいと思っても、気象台の方がすぐに確認に行くことができません。
そのため、近くの方に確認・見回り作業などを委託しているようで、今回も確認してもらったところ、夜間に雪は降っていなかったため、誤った観測だということが判明したとのこと。
ただ、この委託している方に確認をお願い(連絡)ができるのは、気象台の日勤の人が来てかららしく、実際に気象庁HPのデータを修正したのは、翌日15日(金)の午前9時になってからでした。
それもそうですよね。夜中に委託している方に連絡するのも迷惑ですもんね。
つまり、夜間にHPを見る際には注意が必要。
積雪のデータを鵜呑みにせず、気温や降水量などほかの要素も確認して、本当に雪が積もっているのかを判断した方がいいのです。
※データが誤っているのはレアケースにであり、ほとんどの場合信用できます。
では、今回、なんで誤って積雪が観測されたのか。
それも聞いてみたのですが、そこまでは調査していないとのことでした。
ただ、考えられることは以下のようなことだと思います。
- 観測測器が誤作動していた
- 観測測器が落ち葉を雪と勘違いして観測した
- 観測測器が霜柱を雪と勘違いして観測した
気象台など有人の観測所では上記のようなことはすぐに発見、修正できますが、無人の観測所では原因がすぐにはわからず、誤った観測をし続けてしまうことがあります。
積雪の観測方法
そもそも、積雪の観測ってどうやっているのか。
主に2種類の観測測器が使われていて、観測所によって異なります。
まず、一つ目は、『超音波式積雪計』。
簡単に言うと、超音波を下にある雪に向かって発射して、超音波が戻ってくる時間から積雪を求めます。
超音波が戻ってくる時間が早ければ、雪との距離が短いため、積雪量が多いということ。
反対に、超音波が戻ってくる時間が長ければ、雪との距離が長いため、積雪が少ないということです。
画像:気象庁HPより
もうちょっと詳しくお話しすると、送受波器から超音波を発射し、積もった雪面で反射させて、送受波器に戻る時間を計測します。
このときに、温度による音速補正を行って、送受波器から雪面までの距離を求め積雪を計ります。
二つ目は、『光電式(レーザー式)積雪計』。
こちらも、超音波式と同じ感じで、レーザー光を下にある雪に向かって発射して、レーザー光が戻ってくる時間から積雪を求めます。
画像:気象庁HPより
ちなみに、光電式(レーザー式)のほうが最新だそうで、前橋地方気象台は光電式(レーザー式)を使っているそうですよ。
いかがでしたでしょうか。
今回の記事では、みなかみの積雪の誤観測を例に出しつつ、冬に活躍してくれる積雪計について解説しました。
観測って、なかなか奥深いんです。