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ギリギリ認定~近畿地方で木枯らし1号~

こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。

きょう4日(月)は、近畿地方で『木枯らし1号』が吹きました。
ただ、その木枯らし1号、『ギリギリ』だった!?
この記事では、木枯らし1号について詳しく解説します。

冷たい北風『木枯らし1号』

きょう4日(月)15時の近畿地方の風の様子。

冷たい北風が各地で吹いていました。

このように、風向がおおむね揃っているのは、風がそれなりに強く吹いていることの裏返しでもあります。

※風が弱いときは、地形などの影響で地域によって風向のバラつきが大きいです。

 

『木枯らし1号』というのは冷たい北風のこと、というのはお分かりの方も多いと思いますが、ただ北風が吹いただけでは、木枯らし1号に認定されません。

ちゃんと定義があるのです。

近畿地方の木枯らし1号の定義は、以下の通りです。

 

このような感じで、期間や気圧配置、風向、風速の定義があります。

きょうは、彦根と和歌山で最大風速8m/s以上の北寄りの風が吹きましたが、実は最大風速8m/s以上の北寄りの風が吹いたのはこの2地点だけ。

あれ?定義と違うじゃん?定義によると3地点以上で木枯らし1号に認定されるんじゃないの?という疑問が浮かぶと思います。

実は、おおむね8m/s以上の『おおむね』がポイントです。

つまり、大体でいいんです。

この大体さは気象庁の職員の方のさじ加減によるところで、僕にはどこまでがおおむねなのかわかりません。

今回は神戸と舞鶴で最大風速7.8m/sと0.2m/sだけ足りないだけで、おおむね8m/s以上の北寄りの風が3地点で吹いたという判断になり、今回の北風が『木枯らし1号』であると認められたようです。

ですので、木枯らし1号は吹いたものの、今回は『ギリギリ認定な木枯らし1号』で、地域によってはあまり木枯らし感がなかったかもしれませんね。

季節の歩みを教えてくれる『木枯らし1号』

木枯らし1号は、我々人間に季節の歩みを教えてくれる風です。

秋が終わりつつあり、冬が近づきつつある』というのを、教えてくれるわけですね。

きょうの気圧配置を見ると、西高東低冬型。

『冬型』というくらいですので、冬によくあらわれる気圧配置。

冬が近づきつつある証拠ですね。

冬型の気圧配置になると、冷たい北風が吹き、寒いロシアの方から寒気を呼び寄せます。

その寒気による雲が、日本海側に出ています。

よく『寒気による筋状の雲』なんていいますが、今回はあまり筋っぽくありません。

とうのも、冬のように風がそれほど強くなかったから、

風が強いと、雲が筋のようにまっすぐ整列してくれますが、今回は整列せずに単独行動気味の雲が多いですね。自分勝手な雲が多いのでしょうか(笑)よく学校でなかなか整列してくれない生徒がいましたが、そんなイメージです。

雲が筋状に整列していないことからも、近畿地方の木枯らし1号はギリギリ認定だったことがわかりますね。

いずれにしても、寒気による雲が日本海に出るようになってきたのは、季節が前進している証拠であり、季節の歩みを感じますね。

木枯らし1号は東京地方と近畿地方だけ

木枯らし1号と聞くと、春一番を思い浮かべる方も多いと思います。

それは、どちらも季節の歩みを告げてくれる風だから。

ただ、春一番は、北海道、東北、沖縄を除く各地方で発表されますが、実は木枯らし1号は、東京地方と近畿地方でしか発表されません。

もちろん、ほかの地域でも吹きますが、社会的な影響が大きい大都市だけで発表する、ということなんだと思います。

 

じゃあなんで春一番は多くの各地方で発表されるのかというと、影響がより大きいから

 

木枯らし1号も春一番も、強風による交通などへの影響の出方は同じかもしれませんが、春に恐いのは雪どけによるなだれや洪水です。

 

春一番は暖かい南風ですので、雪どけをもたらします。場合によっては大きな災害に繋がりますので、木枯らしよりも要注意な風といえます。

 

さて、木枯らし1号の話に戻ります。

木枯らし1号の定義、実は、東京地方と近畿地方とで異なるんです。

比較してみましょう。

 

まずは期間。

近畿地方は2か月近くあるのですが、東京地方は1か月半ほど。

このように、木枯らし1号は期間が決まっているため、吹かない年もあります

 

次に、気圧配置は西高東低の冬型なので一緒ですね。

 

そして面白いのは、風向も微妙に異なること。近畿地方は北北東と、東寄りの風も含まれているのに対し、東京地方は、東寄りの風は含まれないということ。

 

この原因は地形にあると思われます。

 

この時期は、陸地が冷え、陸地よりも海の方が暖かくなってくる時期です。

近畿地方の地形を見ると、北北東側は陸地ですよね。

つまり、冷たい風が吹いてくるので、木枯らしといえます。

 

 

一方、関東地方はどうでしょう。

北北東側は海です。

つまり、同じ北北東風でも、近畿の北北東風と比べるとやや暖かめの風。

しかも、海の上を通ってくるから、湿った風です。

関東の冷たい風というと、やはり北西から吹いてくる空っ風(乾いた風)ですよね。

そう考えると、北北東風が木枯らし1号に認定されないのは納得です。

ちなみに、『近畿の真北からの風も海から吹いてくるのでは?』とお思いの方もいらっしゃると思います。

ただ、近畿の日本海側は、ロシア方面からの北風にのりダイレクトに寒気が流れ込んでくることや、関東の東の海よりも海面水温が低いことを考えると、海を経由した風であっても、相当冷たいと思います。

いかがでしいたでしょうか。
東京地方での木枯らし1号は、目先1週間はなさそうです。
ただ、朝晩の冷え込みが一層強まってくるため、体調の管理にはくれぐれもお気を付け下さいね!

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