天気 季節の話題

放射冷却のメカニズム~実は身のまわりでも起こっています!~

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こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。

寒い時期になると、天気予報で『放射冷却』という言葉を聞くことがあると思います。
でも、四字熟語で何を言っているのかよくわからない。そのような話をよく聞きます。
この記事では、『放射冷却』のメカニズムについて、詳しく解説します。

身のまわりでも起こっている『 放射冷却 』

まず、放射冷却とは何のなのかについて軽く触れておきます。

※天気予報で出てくる放射冷却についていますぐに知りたい方は、ちょっと下のページまでスクロールしてください。

 

放射冷却』・・・物体が周囲に熱を放って、冷えること。

 

 

実は放射冷却は、身のまわりでも起きています。

例をいくつかあげます。

  • 満員電車
  • 地面
  • やかん
  • ご飯
  • お風呂

たくさんありますが、まず一つ目は満員電車。

満員電車に乗ると、ものすごい熱気で暑いですよね。あれは、人ひとりひとりが、熱をまわりに放っているからです。

 

 

次に地面。

夏場の地面って、とても熱いですよね。

触らなくても、手を地面に近づけるだけでも熱く感じますよね。地面が熱を上に向かって放っているからです。

また、夜桜見物のときのブルーシート越しの地面って、冷たいですよね。昼間に日差しによって暖められた熱が、上空に放たれてしまっているから。

 

お湯を沸かしたやかん、炊いたご飯、沸かしたお風呂が、時間とともに冷えるのは、まわりに熱を放っているから。

 

 

『放射冷却』は、聞きなれない、難しい言葉かもしれませんが、実は日常生活の中であちこちで起こっている現象なんです。

 

 

天気予報で聞く『放射冷却』のメカニズム

身のまわりで起こっている放射冷却について解説してきましたが、いずれも『熱をどこかに放つ』といのがキーワードでした。

天気予報で聞く放射冷却もそうです。

 

晴れている日中を想像してください。

空には太陽がありますよね。

その太陽が私たちが生活している地上を暖めてくれています。

なので、日中は暖かいです。

 

 

では次に、晴れている夜を想像してみてください。

太陽に変わって、月や星の出番です。

月や星は、太陽と違って、私たちを暖めてくれません。

なので、夜は冷える、ということが想像できると思います。

では、日中暖まった地上付近にある暖かい空気は、どこに行ってしまうのか。

答えは、上空に逃げて(放たれて)行ってしまいます。

これは、暖かい空気=重さが軽いからです。

※熱気球は、熱いから宙に浮きます。

なので、夜~太陽が昇る前の朝にかけてよく晴れる日は、冷え込みが強まります。

 

しかし、夜の間曇っていると、話が変わってきます。

夜、空に雲があるということは、雲も熱を放つので、晴れた夜に比べて気温が下がりにくいのです。

地上とあまり距離がない低くて分厚い雲ほど、放射冷却の効果を弱め、気温が下がりにくいです。

 

 

厳密には違いますが、例えるならば、『雲がお布団のような役割をしている』といった感じでしょうか。

人間も、お布団をかけて寝ると暖かいですし、ないと寝冷えしちゃいますもんね。

そんなイメージです。

 

曇りの日って、日中は暖かくないけど、朝晩は実はそんなに寒くないんです!

 

放射冷却が強まる3条件

寒い時期になるとよく聞く『放射冷却』ですが、実は暑い時期でもいつでも起きています。

なので、天気予報で『きょうは放射冷却の影響で冷え込みました』というのは厳密には間違いで、『放射冷却が「強まり」、冷え込みました』が正しいのかなと思います。

 

その放射冷却ですが、起こりやすい条件を3つ挙げます。

  1. 夜間に晴れている
  2. 風が弱い
  3. 乾燥している

 

夜間に晴れていることについては、先に解説した通りですね。

次に、風が弱いということ。

風が強いと、まわりの空気とかき混ぜられてしまい、冷え込みは弱まります。

一方、風が弱いと、熱が上空へ逃げる一方で、夜間に気温が下がり続けます。

 

 

また、乾燥しているということも条件のひとつです。

湿気が多いと、その湿気が雲と同じような役割を果たすため、冷え込みは弱まります。

 

この3つの条件が揃いやすいのは、晩秋や、冬に冬型が弱まったタイミング(つまり風が弱い)、早春です。

 

ヒートアイランド~都市化が放射冷却にも影響~

番外編ですが、実は、都市化が放射冷却の効果を弱めているという研究結果があります。

下の画像は、気象庁HPに掲載されているものです。

2014年8月の朝(左図)と昼間(右図)の気温を、都市がある場合とない場合とで、どのくらい気温が違うのかを示したものです。

これを見ると、都市化によるヒートアイランド(都市化により都市部とその周辺の気温が上がること)の影響で、朝も昼間もオレンジや赤の表示となっており、都市化の影響で気温が高くなっていることがわかります。

特にその影響がはっきりしているのが朝。

ということは、つまり、都市化により放射冷却の効果が弱まっているということ。

高いビル群が建ち並んでいることなどにより、放射冷却により熱が上空に逃げていくのを邪魔されてしまうんですね。

 

 

『放射冷却』に少しでも親近感がわき、興味を持っていただけたら幸いです。

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小林正寿

気象予報士

日本テレビ『ZIP!』レギュラー。

茨城県出身。気象予報士を目指したきっかけは、野球部に所属していた中学生時代、とある冬の練習日。テレビで見た雪予報を部員に伝えたところ、予報が外れ、その日は晴れ。それ以来あだ名は『デマ』。自ら予報したいという思いが強くなり、専修大学卒業後、2012年に気象予報士となる。2013年からウェザーマップに所属し、お天気キャスターとして活動。目標は、日本一思いやりのある気象予報士。

 

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