こんにちは！
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
きょう27日(金)午後に、気象庁から珍しい気象情報が発表されました。
その名も『発生する台風に関する全般気象情報』。
と言われても、何が珍しいのかわかりませんよね。
この記事では、この情報がどうして珍しいのか、気になる台風はどうなるのか、解説します。
台風発生前に注意喚起
では、早速、気象庁が発表した『発生する台風に関する全般気象情報』を見てみましょう。
こちらです。
情報のタイトルは、『発生する台風に関する・・・』と書いてあります。
つまり、まだ台風は発生していません。
『発生する台風』とは、台風が発生しますよーということを国民にお知らせしてくれていて、その台風に発達しそうな熱帯低気圧(台風の卵)は、日本のはるか南、グアム島のあたりにあります。
たいてい、台風が発生した瞬間や、台風発生中には、気象庁は我々国民に台風に対して注意・警戒を呼び掛けるために情報を発表するのですが、今回のように、台風がまだ発生していない段階で、ここまで注意・警戒を呼び掛ける情報を発表するのは、とても珍しいです。
というか、僕はいままで見たことがありません。
おそらく、『発生する台風に関する全般気象情報』という気象情報を気象庁が発表するのは、初めてだと思います。
なぜこれまでこのような気象情報の発表がなかったかというと、日本からだいぶ遠い所にある台風の卵・熱帯低気圧の注意・警戒を呼び掛けたところで、進路や勢力などの予想が当たりにくいためです。
早めに備えてほしい心
ではなぜ、台風が発生する前から、気象庁はここまで注意・警戒を呼び掛けているのでしょうか。
その理由は、僕は以下の3つが挙げられると思います。
- これまでの台風で大きな被害が出ていること
- 大荒れが現段階で予想されていること
- 早めに備えてほしいこと
まず、1つ目、これまでの台風で大きな被害が出ていることですが、先日の台風15号では、千葉県で暴風を中心とする大きな被害が出ました。
9月27日(金)現在、台風15号が上陸・通過してから18日目ですが、いまもまだ千葉県内では復旧が完了していません。
また、今年の台風は、日本の近くで発生し、あっという間に近づいてくるというものが多い印象です。
このため、台風が近づくおそれがあることを、早め早めに伝えておきたいのだと思います。
2つ目、大荒れが現段階で予想されていることですが、正直、そもそもまだ台風が発生していないこと、台風の卵・熱帯低気圧が日本からだいぶ遠い所にあることから、台風の予想にはブレ幅があることは否定できません。
ただ、日本のコンピュータに加え、諸外国のコンピュータによる気圧配置などの計算結果を見ると、来週前半から中頃に、日本付近で大荒れになるという計算のものが多く、気象庁的にも大荒れの可能性が高いかもと、考えているのかもしれません。
台風の予想にブレ幅があるとはいえ、千葉県などこれまでの台風で大きな被害が残っている所があることを考慮すると、早めの注意・警戒喚起はありがたいです。
3つ目、早めに備えてほしいこと。
一番は早めに備えてほしいという、気象庁の心のあらわれでしょう。
きのう26日(木)書いた『秋晴れ途切れ台風発生も？』の、週間予報文で台風の接近を示唆していたのも、早めに注意・警戒を呼び掛けたい心の現れですね。
もちろん、僕もお天気キャスターですから、早い段階で注意・警戒を呼び掛けたいです。
特に、僕が出演している日本テレビ『ＺＩＰ！』は月曜日～金曜日の放送ですので、土日は台風情報をお知らせできるチャンスがありません。
できるなら、金曜日のうちにお知らせしたいのです。
ただ、台風に関しては、気象業務法という法律の関係上、自分で台風の予報をすることは出来ず、気象庁の予報に従った解説をしなければいけないのです。
つまり、気象庁が台風の予報や情報を発表してくれないと、番組で詳しく解説することが出来ないんですね。
ですので、今回のように、金曜日のうちに、しかも台風になる前から台風に関する情報を発表していただけるのは、とてもありがたいのです。
週明けは台風近づき大荒れも
週明けには台風が近づき、沖縄や奄美、西日本で大荒れの天気となるおそれがあります。
台風の進路次第では、東日本や北日本でも、影響を受けるかもしれません。
土日のうちに、早めの台風への備えをお願いします。
台風への備えについては、以下の記事をご覧ください。
