こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
前の記事でも書きましたが、やはり、台風上陸前から大荒れとなっています。
特に関東甲信と東海で経験したことのない大雨となっており、甚大な災害が差し迫っているとして、気象庁は大雨特別警報を発表しました。
今後の見通しについて、詳しく解説します。
夜間も大荒れ続く
台風19号は、12日(土)19時前に、伊豆半島に上陸しました。
この後も、赤い表示、暴風域を伴ったまま関東を縦断し、北日本に近づくコースを取りそうです。
夜間、暗い時間帯も大荒れとなるため、厳重な警戒が必要です。
【暴風】台風15号の千葉県並みの記録的暴風が広域で吹くおそれも
関東甲信と東海の最大瞬間風速は60m/s。
先日の台風15号時に千葉市で観測された風が57.5m/s。
今回の台風19号は、台風15号よりも勢力が強い、且つ、サイズが2倍くらい大きい。
ということは、かなり広い範囲で千葉市並みの記録的な暴風が吹き荒れるおそれがあり、千葉県のような被害が広域で出ることが考えられます。
大規模停電に、多くの倒木、窓ガラスが割れる、屋根瓦が飛ぶ、など、様々な被害が考えられます。
13日(日)の日中、明るくなってから被害がわかってきて、見慣れた街の風景が別世界になっているおそれも。
すでに関東近辺では、あちこちで停電の被害が出ています。
停電前に備えておくべきことなどを記事にしましたので、よろしければ参考になさってください。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~
【大雨】経験したことのない甚大な被害のおそれ
12日(土)15時30分、気象庁は経験したことのない大雨により甚大な災害のおそれが差し迫っているとして、大雨特別警報を東京と神奈川、埼玉、群馬、静岡、山梨、長野の合わせて1都6県に発表しました。
東京や神奈川県などに、大雨特別警報が発表されるのは、運用開始の2013年以来、初めてのこと。
特に雨量が多くなっているのは、静岡県の伊豆地域や東京都と神奈川県の山沿いの地域です。
神奈川県の箱根では、24時間雨量が800mmを超え、観測史上1位となっています(そのほかの地域も観測史上1複数)。
台風の周りを吹く東風が山地にぶつかり、一層雨雲が発達して、大雨となっています。
東京都の山沿いや神奈川県の山沿いは、川の上流ですから、上流で降った大雨が下流に流れ込み、下流の大都市でも川が溢れそうになっている危険な状況です。
例えば、東京都と神奈川県の境を流れる多摩川。
平常時と12日(土)16時40分の状況を見比べると、相当増水しているのは一目瞭然。
本当に氾濫ギリギリという状態。
画面中央の木々の幹が見えなくなってしまっています。
多摩川に限らず、このような危険な状態にある川が、関東近辺では多くなっています。
大雨特別警報が発表された地域は、12日(土)夜遅くにかけては大雨が続くため、最大限の警戒が必要です。
土砂災害、河川の氾濫、浸水。
全部、可能性があります。
海沿いの地域では、静岡県と神奈川県を中心に、高潮による浸水も考えられます。
これからは暗い時間。
本当はこれからの避難や外出は控えてほしい。
でも、やむを得ず外に出るという方は、こちらをご覧ください。
参考記事:【台風】やむを得ず外出するときの注意点
また、大雨特別警報の範囲が広がる可能性があります。
大雨特別警報は、待つものではありません。
すでに甚大な災害が起きていたり、差し迫っていることをお知らせするもので、『大雨特別警報が出たら逃げよう』、ではありません。
外に逃げられる状況ならば逃げることが大事ですが、外が暗くて危ない、浸水してて逃げられない。
そのようなときは、家の中で、命を守る最大限の行動を取って下さい。
崖から離れた部屋に移動する、なるべく高い部屋に移動するなどです。
13日(日)は、雨がやんでも一気に土の中の水が抜けるわけではありませんし、川の水が急に引くわけでもありません。
大雨が収まったあと、時間差で災害が発生することもこれまで多々ありました。
大雨がやんだからと言って、危険な崖や川に近づくのはとても危険です。
少なくとも13日(日)までは、気を引き締めておいてください。
■台風接近時の備えは記事後半に。
参考記事:台風への備え~接近前と接近時~
■土砂災害には前兆があることもあります。
■土砂災害には様々な特徴があります。
参考記事:3種類の土砂災害
■台風に伴い竜巻も発生します。
参考記事:竜巻から身を守る術5つ