こんにちは。
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
僕は、気象災害をはじめとする自然災害から人々守ることを第一に考え、テレビで解説をさせて頂いています。
テレビの仕事をしていると、お天気イベント等で子どもたちと触れ合う機会もあります。
その中で、子どもたちは、災害時に何を考え、何を感じているのか、また、どのような対応を取ってあげるべきなのか、考えることが多く、これまでの事例を参考にしたり、資料を読み込んだりして、自分なりに勉強を重ねてきました。
きょうは、災害時における子どもの心理や子どもたちに取るべき対応について、書いていきたいと思います。
子どもの心理的ストレスは長期化・潜伏期も
災害が発生したとき、子どもたちは様々な心理的ストレスを抱えます。
その心理的ストレスの原因として、日本小児心身医学会HPでは以下のことを挙げています。
- 恐怖体験によるもの
- 喪失体験によるもの
- 罪悪感によるもの
- 生活の変化によるもの
- 家族の変化によるもの
- 友人関係の変化によるもの
上記、恐怖体験は子ども自身の直接の体験によるストレスですが、子どもは、死の概念が曖昧なため、喪失を自分の周囲の環境に生じた変化で判断するようです。それが、上記の喪失体験や生活の変化、家族の変化、友人関係の変化でしょう。
また、罪悪感によるものとありますが、子どもは災害を自分が原因と考えることもあるそうです。
この、災害による心理的ストレスは、通常は数週間で軽快するといわれていますが、1か月以上持続することもあるそうです。また、すぐにストレスが表面化せずに、災害後、数か月の潜伏期間を経てあらわれることもあるそうです。
災害後の子どもの反応
先に、子どもたちが災害時に抱える心理的ストレスの原因について書きました。
では、実際に、子どもたちはどのような反応を示すのでしょうか。
こどもの時に災害を経験されているかた、子どもの親として災害を経験されたかたはよくわかるかもしれませんが、災害時に見られる子どもたちの反応として、以下のことが挙げられます。
- 表情が少なく、ボーっとしていることが多い。
- 食欲がなく、何もする気が起こらなくなる。
- 感情的に高揚する。
- 災害に関連するものを避けようとする。
- 災害遊びや悪夢などで、災害時の体験を思い出して不安になる。
- 不眠・夜泣き・落ち着かない・いらいらする・小さな物音に驚くなど、過度に覚醒する。
- 甘えがひどくなったり、遺尿などの退行(赤ちゃん返り)をするようになる。
- 登園しぶり・後追いなどの分離不安を示す。
災害後の子ども対応は『安心感と受け入れ』が大事
ここまで、災害時に子どもたちが抱える心理的ストレスや精神的・身体的にあらわれる症状について述べてきました。
では、実際に、災害を経験した子どもたちに対して、どのような対応を取ってあげればいいのか。
日本小児心身医学会HPには、『災害後の子ども対応の原則』として、以下のことが挙げられていました。
- 保護者に安心感を与える
- 子どもが表現しやすい状況を整える
- 子どもの身体症状を認める
- 子どもの退行・分離不安を受け入れる
- 子どもに安心感を与える
- 家族(コミュニティ)全体を支援する