こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
さて、秋もだいぶ深まってきましたが、きょう22日(火)は、富士山で初冠雪が観測されました。ようやく、です。
この記事では、初冠雪ってそもそも何なのか、初冠雪の観測方法って?、初冠雪は雪じゃないことも?などなど解説します。
遅れてた富士山の初冠雪
冒頭でも書きましたが、きょう10月22日(火)は、富士山で初冠雪が観測されました。
詳しくは、山梨県の甲府地方気象台から、富士山の頂上付近が白くなっているのが観測されたということ。
つまり、皆さんが思い浮かべる、頂上付近が白い、あの富士山の姿になったということです。
富士山の初冠雪は、平均的に見ると(これを平年といったりします)9月30日なので、平年よりも22日も遅い観測となったんですね。
【富士山初冠雪】
— ウェザーニュース (@wni_jp) October 22, 2019
今日10月22日(火)、山梨県の甲府地方気象台は、富士山の初冠雪を発表しました。平年より22日遅く、昨季より26日遅い観測です。
今月16日(水)に富士山が雪化粧をしている様子を静岡県内から確認できていましたが、気象台からの観測は今季は今日が初めてです。https://t.co/PTsblLI2J6 pic.twitter.com/AZ8ngk2KTm
秋が深まれば気温が下がり寒さがグッと増してきて、紅葉したり、雪が降り始めたりするわけですが、その秋の深まりは標高の高い山や北海道など北の地域から始まります。
ただ、今年は暑い時期が長く夏が長引いた印象があると思いますが、富士山もなかなか秋が深まらず、だいぶ遅い初冠雪の観測となりました。
なお、10月22日(火)時点で、初冠雪が観測されているのは、以下の山です。
- 9月20日・・・利尻山(稚内地方気象台から)、平年より13日早い。
- 9月21日・・・旭岳(旭川地方気象台から)、平年より4日早い。
- 10月6日・・・斜里岳(網走地方気象台から)、平年より7日早い。
- 10月9日・・・岩手山(盛岡地方気象台から)、平年より4日早い。
- 10月22日・・・富士山(甲府地方気象台から)、平年より22日遅い。
- 10月22日・・・甲斐駒ケ岳(甲府地方気象台から)、平年より5日早い。
- 10月22日・・・立山(富山地方気象台から)、平年より14日遅い。
※上記の通り、きょう22日(火)は、富士山のほかに、甲斐駒ケ岳と立山でも初冠雪が観測されました。
初冠雪は雪ではないことも?
具体的に、初冠雪の観測の仕方を見ていきましょう。
そもそも『冠雪』とは、何なのか。
『冠雪』とは、雪やあられ、ひょうなどが山頂付近に積り、白く見えることです。
その冠雪している様子を、寒候年(前年8月~当年7月まで)に付近の気象台から初めて確認できたときに、その山の『初冠雪』として観測されます。
気象台では、全国にある気象台ごとにあらかじめ観測する山を決めていて、毎年その山の初冠雪を観測することになっています。
初冠雪を観測していない気象台もあれば、複数の山を対象にしている所もあって、前橋地方気象台はなんと6つも対象にしています!
さて、自分が気象予報士になって、「初冠雪」っておもしろいなと思ったことが2つあります。
①気象台から冠雪しているのが見えないと観測されないこと。
つまり、実際に山が冠雪していても、曇っていて山頂付近が気象台から見えなければ、初冠雪は観測されません。
②「あられ」や「ひょう」など、氷のかたまりでもいいこと
「初冠雪」というくらいですので、雪が降って山頂付近が白くならないとダメなのかと思いきや、「あられ」や「ひょう」など氷のかたまりが積もって白く見えていてもOKだということ。
実際にひょうが降り積もって「初冠雪」が観測されたことが過去にありました。
それは遡ること、2008年。甲府地方気象台。
先に解説させていただいたように、甲府地方気象台では富士山の初冠雪を観測していて、富士山の初冠雪が観測される平年日は9月30日。
今年2019年はきょう10月22日(火)に観測。
ただ、2008年は、なんと8月9日に富士山の初冠雪を観測!早い!
なぜ、こんなに早く雪が降ったの!?異常な冷夏だったの!?
いえ、違います。
雪ではなく「ひょう」が降り積もったのです。
「ひょう」というのは、雷雲から降ってくるもの。
つまり、このときは雷雲が発達して、夏の夕立で「ひょう」が降ってきて、それがふもとの甲府地方気象台から白く見えるほど積もったんですね。
この先、さらに季節が進んで、山が冠雪する姿を各地で見られるようになってくると思いますので、
皆さんも自宅近くの山を観察してみて、「初冠雪」を観測してみてくださいね!
それにしても、 即位礼正殿の儀の日に、富士山が雪化粧した姿が見えるとは、、 驚きです!