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再び大雨特別警報発表の可能性も

こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。

きょう28日(水)早朝に、福岡県、長崎県、佐賀県に、大雨特別警報が発表されました。
17時現在、大雨特別警報は全域で解除されていますが、今後、再び大雨特別警報が発表される可能性があります。

この記事では、九州を中心とする大雨の今後の見通しについて、解説していきたいと思います。

1時間100ミリ超えの大雨頻発

九州北部は、きのう27日(火)も大雨となっていましたが、特に、きょう28日(水)明け方は、非常に活発な雨雲が同じ地域に集中的に流れ込み、猛烈な雨を観測しました。

特に、佐賀県では、1時間におおむね100ミリ以上の雨が降ると発表される『記録的短時間大雨情報』が次々と発表され、きのう27日(火)夕方~きょう28日(水)明け方までの間に、計7回も発表されたのです。

その結果、甚大な災害が発生するおそれが極めて高くなっているということで、きょう28日(水)早朝に福岡県、佐賀県、長崎県に大雨特別警報を発表しました。

総雨量も、九州北部各地で、記録的な量となっています。

8月は、ただでさえ雨の量が多いですが、その8月1か月分の雨量の2倍以上の雨が降っている所もあります。

※以下、26日(月)00時~28日(水)15時までの総雨量

  1. 平戸(長崎県)522.0ミリ
  2. 佐賀(佐賀県)456.5ミリ
  3. 久留米(福岡県)396.5ミリ

再び大雨特別警報発表の可能性も

28日(水)17時現在、大雨特別警報は全域で解除されていますが、福岡管区気象台発表の九州北部地方の気象情報を見ると、『大雨特別警報を再度発表する可能性があります』との文言。

そうなのです。

記録的な大雨は、これで終わりではありません。

あす29日(木)にかけても、同じ地域で大雨が続くおそれがありますし、その後も、少なくとも週末にかけて、雨が続く見通しとなっているのです。

原因は『 動かない、活動活発な秋雨前線 』にあり

大雨が続くおそれがある原因は、活動が活発な秋雨前線が、ほとんど動かないことです。

下の天気図は、きょう28日(水)、あす29日(木)、あさって30日(金)のものですが、九州付近に注目すると、ほとんど秋雨前線の位置が変わっていません。

秋雨前線の位置がほとんど変わらないということは、同じ地域で雨が降り続くということを意味します。

そして、この秋雨前線の南側は、大雨のもとになる暖かく非常に湿った空気が九州付近で集合するように流れ込み続けるため、雨雲が発達しやすい状況が続いてしまうのです。

暗い時間にも大雨のおそれ

今後の雨の予想です。

29日(木)に日付が変わって、まだ暗い時間に、雨雲が再び活発化するおそれがあります。

九州北部に加え、山口県や広島県、島根県でも、朝にかけては、同じ地域で数時間、大雨が続いてしまうおそれがあります。

おそらく、寝ていても大半の人が気が付くような、そんな大雨です。

日中は、次第に小康状態になるものの、

30日(金)に日付が変わってからは、再び雨雲が発達し、九州北部付近に活発な雨雲がかかる予想となっています。

すでに地盤が緩んでいたり、川の水が増水している所に、さらなる大雨が予想されていますので、危険な状況がしばらく続きそうです。

一時的に雨の降り方が弱まっても、油断しないでください。

『 避難 』は外に逃げることだけじゃない

ここまで解説させていただいたように、大雨はまだまだ終わりではありません。
九州北部では、さらなる災害が発生することが考えられますし、また、これまで雨の降り方が強まっていない地域でも大雨となり、新たな地域で災害が発生するおそれがあります。
ですので、早めの避難をお願いしたのです。

【 気象情報をこまめに確認 】

まず、気象情報をこまめに確認することが大事です。

スマホやパソコンを使える環境のかたは、いつも使っている天気アプリや気象庁のホームページ、自治体のホームページなどで情報収集しましょう。

気象庁のホームページで使えるページのリンクをいくつか貼っておきます。

雨の様子・予想

土砂災害の危険度

浸水の危険度

洪水(河川氾濫)の危険度

警報・注意報

【 避難は慎重に 】

外に避難できる状況のかたは、ただちに避難所など安全な場所に避難しましょう。

ただ、大雨などによりいつも通る道などが、いつもと状況が異なっている可能性があります。

例えば、大雨によりマンホールが外れていたり、いつも通る道が冠水していたり、土手や用水路近くのあぜ道がもろくなっていたり。

冠水している場合は、ドアが開かなくなったりエンジンが停止する可能性があり、車を使うのがかえって危険な場合もあります。

また、歩く際にも、手をなるべくあけるためにリュック背負ったり、長い棒を使って前方を確認するなどして、安全に行動するようになさってください。

危険な場所には近づかない、無理をしない、慎重に。これが避難の鉄則です。

【 家の中で安全な場所を探す 】

本当は早めに避難していただきたいですが、夜中に大雨になってしまったりして、避難所に向かうのが遅れてしまうこともあると思います。

外に避難するほうがかえって危険な状況になっている場合は、家の中で安全な場所を探すようにしてください。

避難所に行くことだけが避難ではありません。

家の中で避難して助かった例もたくさんあります。

例えば、崖から離れた部屋に移動したり、2階以上の部屋に移動するなど。

その際に、できるだけ食料や防寒用の衣類などを運ぶようにしましょう。

諦めないで知恵を働かせ、命を守ることを最優先に考えて行動することが大事です。

最後に・・特別警報が出たら手遅れ

最後に、厳しいことを言います。
特別警報が発表されたら、その時点で手遅れの場合が多いです。それは、特別警報の発表=甚大な災害が起こっている可能性が高いことを意味するからです。

国の調査によると、これまで特別警報が発表された市町村のおよそ51%で被害が発生したそうです。

特別警報は、避難を促すものではありません。

もうすでに甚大な災害が起こっているおそれがある』ということを、知らせる情報だと思ってください。

つまり、特別警報は待つものではありません

特別警報は最後通告的なものなので、警報が出た時点で、避難を開始・完了していただきたいのです。

今年から始まった、警戒レベルなど、自治体から出される情報にも従って下さい。

高齢のかたなど、避難に時間を要するかたはレベル3の段階で避難を開始してください。

そのほかの皆様も、レベル4になってしまったら、速やかに避難をお願いします。

レベル5は、『ないもの』だと思って下さい。

レベル5は、先ほども言いましたが、甚大な災害が発生している可能性がある大雨特別警報や、すでに川が氾濫しているときに発表される氾濫発生情報が当てはまります。

つまり、すでに外に避難するのが極めて危険である状況であり、手遅れなのです。

自分だけは大丈夫、今回も大丈夫。
そう思わないでください。
早めの勇気ある行動が、あなたの大事な命、大切な人の大事な命を守ることに繋がります。

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