こんにちは!
気象予報士・お天気キャスターの小林正寿です。
台風接近時、我々お天気キャスターは『不要な外出は控えてください』と、口を揃えて言います。もちろん、視聴者のかたも理解してくれます。
ただ、やむを得ずお仕事に行かなければならなかったり、タイミング的に遅れてしまったけどこれから外に避難したい、という場合、どういうことに注意すればいいのか。
詳しく解説します。
目次
動きやすい服装、掃きなれた靴
まず服装ですが、当然ですが、いつもと違う状況になっているわけですので、動きやすい服装でお願いします。
さらに、ケガがないよう、長袖、長ズボン、軍手を着用してください。
大雨なので長靴をはきがちですが、中に水が入ってきて脱げてしまったり、動きにくいです。
靴は、普段からはき慣れている、なるべく底が厚めの靴がいいです。
できるだけ複数人で行動
まず、できるだけ、複数人で行動してください。
避難される方であれば、ご家族やご近所の方と一緒に。
仕事に行かれる方であれば、行きはタクシーで、帰りもできるだけ複数人で行動するようにお願いします。
エレベーターを使わない
エレベーターは、停電してしまうと、止まってしまいます。
その結果、エレベーターの中に閉じ込められてしまうことに。
スマホの充電が切れてしまったり、一人で取り残されてしまったら、かなり悲惨です。
不安の中、長時間を過ごすと、実際の時間よりも長く感じるものです。
面倒でも、『もしかしたら・・・』と考え、エレベーターを使わない選択肢を選んでください。
浸水している場合は無理に外に出ない
『もうダメだ、いまからでも避難所に行こう』。
そう思うこともあると思います。
しかし、水深50センチ(大人のつま先からひざくらいの高さ)を超えているようだったら、ちょっと待ってください。
身体を水に持って行かれてしまい、外に出る方がかえって危険です。
家の2階など、なるべく高い所に避難してください。
外に逃げることだけが、避難ではありません。
マンホールや側溝が開いているおそれ
道路の冠水により足もとが見えず、フタが開いているマンホールや側溝に転落するおそれがあります。
できるだけ複数人で行動し、傘など棒状のもので足もとを確認しながら行動するようにお願いします。
アンダーパスを通らない
普段、通い慣れている道にアンダーパス(道路の立体交差)はありませんか?
いつもの道だからといって、冠水しているアンダーパスに車で突っ込んでいくのは大変危険です。
水深が30センチ以上になるとエンジンが止まり、さらに水位が増すとドアが開かなくなります。
地下室に入らない
台風で暴風が吹き荒れているとき、窓がある部屋にいると危険だからと、窓がない地下室に避難するんだ、という話を知人から聞いたときにゾッとしました。
だって、風は防げても、大雨で浸水してきたらどうすんですか。
浸水による水圧は想像以上で、全然ドアが開かなくなり、水死してしまいます。
絶対に地下には行かないでください。
お仕事でもです。
外開きのドアは、ドア内外の水位差が26センチ(大人の男性のつま先~すねくらいの高さ)以上あると、開かなくなります。
内開きのドアは、ドア内外の水位差が47センチ(大人の男性のつま先~ひざくらい)以上あると、開かなくなります。
あっという間です。
大荒れのときは外に出ないのが鉄則ですが、どうしても外に出なければならないとき、解説させていただいた内容が参考になればと思います。
『命を守る』。
考えるのはこれだけです。